松ぼっくりって松の何?

 秋に公園に行くと松ぼっくりが落ちていたりします。松かさとも呼ばれます。ところで、松ぼっくりとは、松の何なのでしょうか。

 答えから言えば、松ぼっくりは、松の果実のようなものです。他の果実と同じように松の種がそこについています。「ようなもの」というのも、生物学的には、果実とは被子植物に形成される種子をその中に含む雄しべの子房が発達したものですので、裸子植物である松の松ぼっくりは正確には果実に含まれないようです。中に種を含む構造としてはリンゴやミカンと一緒です。

 松ぼっくりの種は鱗片(りんぺん)といわれる部分についています。開いたときにかさになっている部分にそれぞれ種子がついているそうです。よく見る松ぼっくりアカマツクロマツのものですが、その種子は風散布型といわれる種子を風に運ばせる方法で遠くに飛んでいくようになっています。たんぽぽなどと一緒ですね。

 風散布型の松ぼっくりは種子が成熟すると、かさが開き、鱗片が反り返ってすきまができます。「種子翼」といわれる羽根状のものについた種子は、松ぼっくりが地上におちる間に松ぼっくりから離れて、風に乗って飛んでいくそうです。そのため、地上におちた松ぼっくりには種がついていないことが多いですが、たまに残ってついているものもあるみたいなので探してみましょう。

 松の中には、リンゴ、ミカンなどと同じように動物に種子を食べさせることで遠くに運ぶ「動物散布型」という方法をとる種類もあります。ハイマツという種類がそうですね。日本では北海道などの寒いところや高山にしか分布していません。緑色の実をつける小さい松です。これらは種子が成熟してもかさが開くことはないそうです。

 リスが松ぼっくりをかじってエビフライみたいになったものをみたことがありますか。リスは、木の上のまだ柔らかい松ぼっくりのかさをかじって地上に落とします。その食べ残しがエビフライの見た目そのものなのです。リスは松ぼっくりを食べるのは夏から秋にかけてのようなので、秋の初めには森にエビフライが落ちているといいます。エビフライを作っているりす、一度はお目にかかりたいものです。